自己実現目標を達成するためには?正しい方法をマスターしよう

「自己実現」という言葉がしばしば取り上げられます。しかし自己実現という言葉、聞いたことがあり何となくはわかっていても具体的にどういうことなのかまでは知らないという人もいるでしょう。そこでここでは自己実現とはどのようなものか、達成できる目標の立て方などについてみていきます。

◆自己実現とは何か?

自己実現の本当の意味を理解できなければ、正しい目標設定ができません。実は自己実現はアブラハム・ハロルド・マズローという著名な心理学者が紹介した言葉と言われています。

◆マズローの説く自己実現とは?
マズローによると「自分に最も適した活動を見出して自分の可能性を発揮する」ことを自己実現と紹介しています。こうしてみると、個性を発揮するための動機付けであって個人的な問題であることがわかります。しかしマズローは自己実現と関連付けて、欲求階層説と呼ばれる価値観も紹介しています。

◆欲求階層説とは?
では欲求階層説とは「成長欲求」と「欠乏欲求」の2種類によって構成されています。マズローは欠乏欲求の上に成長欲求がある、ピラミッド型の欲求を提唱しています。まずは欠乏欲求があります。生理的欲求・安全欲求・社会的欲求・承認欲求と段階を経て、その上に自己実現欲求である成長欲求があるという考え方です。

土台の欲求が満たされると、人間は次のステージの欲求を求めます。まず睡眠や食欲、性欲などの本能的な生理的欲求を目指し、それが満たされると安心して生活したいという安全欲求、次の周囲とのつながりを持ちたいという社会的欲求、続いて自分を認めてほしいという承認欲求を求めます。これらの欲求が満たされると、最終的に自分の能力を発揮したいという成長欲求である自己実現欲求を求めるようになります。

つまり自己実現とは、ほかの欲求が満たされた状態であることが前提です。健康や安全、社会的なつながり、認められたいという欲求を超えて、自己目的のみを満たすための行動です。

◆間違いやすい自己実現

自己実現の意味について理解できましたか?しかし自己実現という言葉を用いている人の中には、間違って解釈している方も少なからず見られます。よく見られる自己実現の御用についてみていきます。

◆目標の達成
自己実現の達成と目標達成をイコールだと思っている人も多いようですが、これは間違いです。日本では「実現」というと「夢の実現」や「計画の実現」と用いられることが多いです。そこで自分が設定した目標を達成することこそが自己実現だと思いがちです。

◆周囲から認められること
自己実現とは、周りに称賛されるような人間になることだと思い込んでいる人も少なくありません。「自己実現とは何ですか?」と言われると、「お金持ちになって周囲を見返す」「経営者などで人生の成功者になる」「タレントなどの有名人になってちやほやされたい」といった回答が見られます。

しかしこれは前に紹介した承認欲求です。欠乏欲求のステージであって、自己実現欲求とは異なります。承認欲求を超えたところに自己実現欲求があるのです。

◆ 成長すること
自己実現と混同しがちなのは、「自ら成長すること」です。「自己実現ができる仕事です」と求人情報に時折記載されていますが、これなどは成長を誤用した典型的なパターンといえます。自己実現と成長はイコールではなく、原因と結果の関係と考えましょう。自己実現のための努力をした結果、成長できたということはあるかもしれません。しかし両者は同じものではないので注意しましょう。

◆自己実現目標の立て方とは?

正しく自己実現を達成するためには、意味を理解したうえで正しいアプローチで進めていく必要があります。ここでは自己実現の目標の立て方の工程についてまとめましたので参考にしてみてください。

◆現状を見直す
自己実現は人間の欲求のピラミッドの中のトップに位置しています。土台の部分にほかの欲求があって、下位の欲求が満たされることで、上層の欲求を求めるようになります。ですから自己実現するためには、まず下位の層の欲求をきちんと満たされているか現状を確認しましょう。生理的欲求である体のコンディションはどうか、安全欲求の安心できる環境が整っているか、周りとのつながりを確保し社会的欲求が満たされているか、周りから敬意を得られて承認欲求が満足できるか確認してください。もしこの4つの欲求が満たされていない状態で、自己実現を目指してもうまくいきません。4つの欲求を満たすために今何をすべきかを考えましょう。

◆長所を見つける
自己実現は自分の才能を発揮することです。そこでまず自分の長所とは何かを考えてみましょう。自分の長所や個性を把握していなければ、自分が持っている可能性を発揮できません。では長所とは何か、人によってさまざまでしょう。創造力に優れている人もいれば、慎重に物事を判断できるという方もいるでしょう。思いやりがあるという人もいれば、周りを楽しませられる、ひたすらコツコツ努力できるといったことも長所になりえます。

もし長所が見つからないというのであれば、自問自答しましょう。「アナタが上手にできることは何ですか?」「時間を忘れるくらいに没頭できるものはありますか?」「これまでに何にお金や時間をたくさん使ってきましたか?」と質問を繰り返すと、長所が見えてきます。

◆価値観を確認する
自分の価値観がどうなのか、見つめ直すことも自己実現の目標設定するために必要なことです。価値観とはいいかえると大切にすることです。「自分の人生で欠かせないものは何か?」を自分に問いただしてみましょう。もしくは「これからの人生の中で無駄なもの、なるべく避けたいものは何か?」と質問してみるといいです。その答えの逆が、あなたの価値観になるからです。

◆目標を立てる
ここまでで、自分とはどのような人間なのかが見えてきたでしょう。長所と価値観をベースにして、目標を設定していきましょう。目標を立てる際にポイントになることは、達成可能なもので目標を目指すために合理的な理由のあることです。

目標を立てる際には、具体的なものを検討しましょう。そして数値化できるような目標が好ましいです。漠然とした概念的な目標を立ててしまうと、達成したのかどうかのちに検証できなくなるからです。またいつまでに目標を達成するか、期限を意識することも大事です。期限を設けないと、ズルズル先延ばしにしてしまいいつまで経っても目標達成できなくなる恐れがあるからです。

そして目標を達成するには、今何をすべきか逆算して計画を立てましょう。このように実現可能な目標を繰り返し達成し続けることで、自己実現の達成につながっていきます。

◆まとめ
自己実現について、ここでは見ていきました。自己実現はほかの欲求の満たされている状況でないと、なかなか意識できないものです。欲求にはいろいろなフェーズがあります。それぞれの段階が満たせているかどうか、まずは検証しましょう。もし満たされない欲求があれば、どうすれば解決できるかまず考えることが重要です。

自己実現とは別に他者を意識するものではありません。あくまでもみなさんにしかできない目標に向かって突き進むことです。自己実現を目指すにあたって、一回自分を見つめ直してみるといいでしょう。自分がどういう人物か、今まで気付かなかったことを再認識できるかもしれません。